THE BOOMの元ベーシストが語る、YouTube・音楽配信・サブスク……現代のミュージシャンの「自由」と「お金」を考える。

THE BOOMの元ベーシストが語る、YouTube・音楽配信・サブスク……現代のミュージシャンの「自由」と「お金」を考える。

■1990年代、J-POPバブルの現場。

1990年代のいわゆるJ-POPバブル時代には、CDもよく売れたし、予算も豊富だった。だから当時、THE BOOMは4名のメンバーで構成されていたけど、サポートミュージシャンがライブ時には10人以上いたこともあった。ところが、そんな恵まれた時代は続かない。CDが売れなくなると、当然ライブにも予算をかけられなくなる。こう言ってしまうと切ないが、ライブも「人件費の削減」という問題が出てくる。 そこで、シーケンサーという自動演奏ソフトを通じて、あらかじめ録音された音源を使用することでライブ時のミュージシャンの数を減らすことができる。僕らもTHE BOOM時代、まったく機械音源をつかわなかったわけではなく、シーケンサーを使って生演奏と同期させることも多かった。今では当たり前の手法となり、ライブを観に行っている人もシーケンサーの音源に気づかないことも多い。このように、必ずしも生演奏がすべてではない。 生演奏は確かに臨場感も感動もある。しかし、一方で楽器が増えれば増えるほど、総合的なバランスを取るのが難しくなる。だから、いまのひとりで表現できること自体は、決して悪いことではないと僕は考えている。最近はドラムとヴォーカルだけ、といったかつてでは考えられない編成のミュージシャンも出てきている。 そういう意味では、本当に自由になったのではないかと思う。とはいえ、扱う楽器が少ないとひとつひとつの演奏を細かく見られることになり、今度は技術が試されることから一長一短なのかもしれない。 ひとりでできることは自由ということでもあり、お金もかからない。レコード会社との契約もいらないし、CDをつくらなくても、音楽活動はできる。ただ、それが人を感動させられるかどうかはまた別問題で、音楽で食べていくのはとても難しい。自主制作でCDをつくっても制作費はかかるし売るのも大変だ。ライブはコロナ禍で大打撃を受け、その余波はまだ残っている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6e4967d163429dc29813ee7409a054ae10e63eba